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2017/12/27アムステルダムNDSM造船所にみる自立的な都市開発〜20年の軌跡トークセッション開催

2017/12/14

クリエイティブ・シティ・ラボ第2弾は、オランダアムステルダムよりエヴァ・デ・クレルク氏をお迎えいたします。エヴァ氏は都市計画のパイオニアです。20年前に廃墟となったNDSM造船所に、表現の場を求めてsquat(不法占拠)したアーティスト達をまとめ、最終的に行政が認める自治区をつくりあげました。

最近、彼女の長年に渡る実践からの学びが1冊の本『Make Your City - The City as a Shell - NDSM Shipyard - Amsterdam』にまとめられました。ここには、20年もの間、魅力的な絵を更新しながら描き続けた自立的な都市開発の哲学や教訓が詰まっています。

エヴァ氏の役割は、世界中の否定的なレッテルを貼られた地区などを調査し、可能性を見つけて新たな価値を社会に提供することです。土地の過去を消し去るのではなく、今までの環境を活かした再開発を試みています。

 

今回は、エヴァ氏と長年交流のある吉本 光宏 氏(株式会社ニッセイ基礎研究所 社会研究部 研究理事)をお招きし、NDSMの文化的背景を解説して頂きながらエヴァさんの取り組みをご紹介頂きます。年末のお忙しい時期とは思いますが、自立的な都市開発におけるエヴァ氏の情熱に耳を傾けて下されば幸いです。

 

アムステルダム NDSM造船所にみる自立的な都市開発〜20年の軌跡
開催日:2017年12月27日(水)19:00-21:00 @永田町みどり荘
参加費:3000円(税込)
定員:40名
チケットはこちらからお申込下さい>>https://peatix.com/event/331600/view

ゲスト:
エヴァ・デ・クレルク氏(NDSM代表)
吉本 光宏 氏(株式会社ニッセイ基礎研究所 研究理事)
成田 冠 氏(CreativeOut株式会社 代表/クリエイティブ・ディレクター)
※本セッションは通訳が入ります

司会:岡島悦代(一般社団法人クリエイティブシティラボ事務局)
主催:一般社団法人クリエイティブシティラボ事務局
協力:CreativeOut®

Make Your City - The City as a Shell - NDSM Shipyard - Amsterdam Eva de Klerk (with Carolien Feldbrugge and Joost Zonneveld)

 

NDSM造船所とは

1984年のオランダ造船会社(NDSM)の倒産以降、アムステルダム北部のこの地域は社会から放置された状態が続き、試験的にDogtropという団体の劇やフリーマーケット開催以外はこれといった催し物もなく時が過ぎていきました。1998年、アムステルダムの数多くの工場跡や古い波止場が完全撤退や廃棄の対象に上がり、エヴァを含む千を越えるアーティスト、デザイナー、劇場関係者、新鋭芸術家達が活動拠点を失う危機に直面してしまいました。

2000年、エヴァ氏はこのアムステルダム北部地区役所主催の競売でNDSM東地区84000平米の一時活用権を取得しました。彼女は的場適所に人々を集結させ、開発理念を明記、実行可能性調査の評価を示唆、必要財源と追加助成金の手配など、デザインから建築許可に至るまで全ての工程責任を一任しました。そしてカイネテック•ノード(北地区造船)の名の下に劇場関係者、スケートボーダー、信頼のおける起業家とともに巨大な造船ホールへと事業場所を移しました。当初、カイネテック•ノードはただの作業仲間の集まりにすぎなかったのですが、Kunststad(芸術の街)、Skatepark(スケート公園)、レストラン’Noorderlight’の独特なプロジェクトの参加が起爆剤となり、いつしか管理財団へと成長していきました。

2002年初旬、このプロジェクトは都市開発計画及び環境経済省より、「オランダにおける都市再生の手本」として推薦されたのです。その数年後には、アムステルダムの文化的最新スポットとして注目され、その人気は落ちることをしりません。NDSMは可能性を最大限に追求出来るヨーロッパ最大の場所とも言えます。(http://www.evadeklerk.comより一部抜粋)

 

ゲストプロフィール


エヴァ・デ・クレルク氏(NDSM代表)
1965年アムステルダム生まれのイギリス育ち。プロジェクトブースターであり、「Make your City」の著者。創立者、開拓者、文化探究家、仲介者、資金調達家、施工責任者、開発者など一言では表現出来ないほどの肩書を持つエヴァ・デ・クレルク氏。彼女は地域共同体(=コミュニティ)と都市地域有効利用開発、発展において絶え間ない努力と情熱を注ぎ、現在もその任務に大きく携わっている。世界中のあらゆる都市で目にする無放地域、具体的に住宅や工業地域が無人化の末、長年放置され社会からもその存在を無視された場所や、ある種の否定的なレッテルを貼られた地区などを調査し、廃棄になる運命から救済し、新しい可能性を見つけ出し社会に提供するのが彼女の役割。その手法は、周辺の地域共同体などを通じて様々な人々に実態を紹介、可能な限りのアイデアを集結していくという、想定外な手法で様々な課題に挑戦している。


吉本光宏 (株式会社ニッセイ基礎研究所 研究理事)

1958年徳島県生。早稲田大学大学院修了(都市計画)後、設計事務所勤務などを経て1989年からニッセイ基礎研究所。国立新美術館や東京オペラシティ、東京国際フォーラム等の文化施設開発やアートワーク計画などのコンサルタントとして活躍する他、文化政策、創造都市、オリンピックと文化等、幅広い調査研究に取り組む。東京2020組織委員会文化・教育委員、文化庁文化審議会文化政策部会委員、文化庁2020年に向けた文化イベント等の在り方検討会座長、東京都東京芸術文化評議会評議員、横浜市創造都市推進委員会委員長、企業メセナ協議会理事、東京藝術大学非常勤講師などを歴任。主な著作に「ロンドン2012大会―文化プログラムの全国展開はどのように行われたのか(雑誌「地域創造」)」「アート戦略都市(監修、鹿島出版会)」など。

 


成田 冠 氏(CreativeOut株式会社 代表/クリエイティブ・ディレクター)

ファッションデザイナーを経てグラフィックデザイナーとして不動産関連の広告に携わる中で、日本は衣食住の「住」、広義には「大きな施設」や「街」が実は最もイケてないのではないか?という問題意識を持ち、街や場所のブランディングに特化した専門ビューロー、CreativeOut®を立ち上げる。近年実績としては、100%エネルギーの地産地消を実現した「目黒川みんなのイルミネーション」で、グッドデザイン賞受賞、A' Design Award受賞。企画展「2020 ふつうの家」で、Yahoo!Japanクリエイティブアワードにてゴールドを受賞。武蔵小杉のタウンブランディング・プロジェクトである「COSUGI CONVIVIAL PROJECT」でもグッドデザイン賞の受賞など。現在も、新・宮下公園のマスターコンセプトをはじめ、大規模再開発や商業施設、公園の再生など、様々な場所づくり、再編集に尽力している。